熱海温泉 山田湯
|
|
|
■施設名 山田湯共同浴場
■値段 300円
■住所 熱海市
■電話
■時間
■定休
■その他
■訪問日 2019/3/15
|
泉質等メモ失念
|
|
2019年の3月、伊豆大島への行きしなに熱海の街をぶらぶらして山田湯を訪ねました。
山田湯は温泉ファンなら誰もが一度は訪ねてみたいという熱海においては伝説的な浴場といわれています。熱海の共同浴場も昔日の面影はなく次々と姿を消して山田湯が健在なのはうれしい限り。
ややわかりにくい路地を入って個人の自宅と思しき敷地内に山田湯はあります。
「やあ、こんにちは入浴を所望します」
私は春の日差しの中お洗濯ものを干していたおばさんに声を掛けます。
「これはこれはいらっしゃいませ、どうぞごゆっくり」
「うむ」
愛想のいい人柄の良さそうな女将さんでした。
|
男女で別れた入り口を入って
「にやり」
思わず笑みがこぼれました。まさに狙ったところのないクラシックな共同湯スタイル。
もう何十年もずっと変わらないであろうその姿形状にホッとします。
浴室は古いけれどきれいに清掃せられ過不足なく快適に保たれている。
タイル張りの浴槽には熱海の澄明無色の湯がとろとろと放流されています。
いったいこれ以上の何が必要でしょうか
|
|
|
お湯の流れる音しかしない静寂な浴場へと私はそおっと入ります。
「やあこんにちは」
「大儀である」
先客が一人。じっと浴槽のへりに腰を掛けてメモ帳に何かを記しています。
「良い湯ですね」
「ぼくはね来宮から歩いてきたんだ」
「ほほう」
「小田急で来たら存外熱海は近いね、駅前浴場にも行きたいんだが」
どうやら先客は温泉ファンのようです。
「ノートには何を書いているんですか?」
私の素朴の質問に浴客は、
「柳生流温泉免許皆伝の秘帳」
そういってゲラゲラと笑いました。
|
よくわかりませんが、向こうが柳生流ならわたしは太宰流温泉哲学を探求すべくじっと湯に身を預け、湯の香を嗅ぎ、湯に尻をぷかぷか浮かせたり、肌触りを楽しんだりしていっこうに飽きることがありません。
「やっぱり熱海もいいねえ」
「うむ」
柳生氏も納得顔です。
それでももう行かなくちゃ。
大島行きのジェット船の時間が迫っています。
同浴者柳生氏と一緒に湯から出でて春の風に吹かれながらぶらぶらと熱海の港へと歩きました。
楽しくてたまりません
|
|