秋田との県境の峠を越えて宮城県側に下ってきました。
霧と氷雨とで雪の心配をしながら走ってきて、もうここまで下れば心配はありません。
依然として小雨交じりの天候ですがいつしか空は明るくなりつつあり不安の思い出ハンドルを握っていたわが心も軽くなってくるのでした。
それももっともなことで何しろ十数年ぶりでなるこの地に還ってくることがかなったのです。
「懐かしいなあ、中山平の湯治宿に二泊したんですよ」
「ほほう」
「東蛇の湯という自炊宿でね…」
「そこはもう滅亡しました」
「絶句」
ことほど左様に歳月の経つのは早く、時代や人の営みの変遷はめまぐるしいものがあります。
それでも中山平の湯けむりと、そこに湧き出だす湯は変わらないと信じつつ、まずは星の湯旅館に突撃レニングラードしましょう。