晩秋の東北紀行ももう終わりです。
高東旅館を出でて、せっかくだから川渡でもう一湯入っていこうと訪ねたのがここ板垣旅館です。
利用する源泉名はその名も神の湯。
いまでこそ疲弊して見える宿屋ですが、かつては栄華を誇った時代があったのでしょうねえ。
玄関を開けて入浴を乞うと、ご主人は臥せっておられたようでしたがどてらを羽織って、新館の浴室へと私たちを案内してくれました。
ご主人の臥せっていた母屋は、人を泊めるにはいささか難がある状態とお見受けしましたが、新館はなかなかどうしてきれいなものです。（浴場をのぞいて）
たぶん数年ほど前に現代風の滞在を希望する浴客需要にこたえようと一念発起してご主人は新館を建設なされたのではないかと推測します。
しかし受注は思うに任せず、ご主人は病を発症し、跡継ぎの息子はヤマハに勤めてしまった（推測）
地方の小さな旅館に良くある話かもしれませんが、そんな苦境にある宿にせめてもの応援として、またそれは蟷螂之斧でしかないとしても私たちが入浴を乞うことでご主人へのエールにとなれば幸いなのですが…
前置きばかり長くてすみません
肝心の温泉は川渡の良質の湯がとろとろと放流式
昨夜泊まった高東旅館よりもライトさらさらな感触を受けます
明るい日の当たる浴室で小さな浴槽につかってはるか宮城の空を見上げていると、旅愁ここに極まれり、やめられません
