尾之間温泉


 尾之間温泉 共同浴場  

■施設名   尾之間温泉
■値段    200円
■住所    屋久島町尾の間
■電話    
■時間    
■定休   
■その他
■訪問日   2015/02/06

泉質等不明

屋久島にある正統派の公衆浴場がここ尾之間温泉。
街道から山側に少し入った高台の集落にその浴場はあります。
昭和の公会堂風、木造の浴舎はなかなかどうして趣と威厳があります。
 

この日、私は勤勉にも朝6時に宿を出でて、この温泉浴場にやってきました。
朝まだきの尾之間集落は、行きかう人もいないひっそり閑とした田舎然とした雰囲気です。
息せき切って浴舎に入ると、湯番のお姉さんがひとり。
200えんを手渡しし浴場に入ると、そこは一種特異の空間でした。
なんというのでしょう、妖気のようなものが漂うているように感じます。
その妖気は浴槽の底から湧き続ける永劫の湯から出でているのか、人々の情念がしみこんだ浴場から漂うのか、それは私には判りません。

 

そうして、その湯はまさに名湯。
高貴なほどに美しく澄みきった湯はさながら屋久島の水晶。
しかし、その水晶湯は充分に力強く、十分な熱波で私の五感を覆い尽くす。
浴感はつるつる感顕著。
湯に浸かったとたんに身体全体が浮遊感とともに恐ろしいほどにつるつるします。まるで赤子の頃の肌に瞬時にしてターンオーバーしたのではないかと錯覚しそうです。
これは素晴らしいです。
ともすると屋久島の湯は海岸の露天風呂ばかりが評価され、羨望せられるきらいがありますが、kの湯と浴場こそ金剛石。私はこの旅で、麒麟を求めて硫黄島に渡ろうとしましたが、何の、麒麟は屋久島の尾之間に生息し、私を待っていたのでした。

2015年冬の我が獲麟の旅はこの共同湯にてひとまず大団円を迎えるのです。
もう一度屋久島に来たらランド(屋久杉ランド)にも行きたいし、海辺の露天風呂にもいきたい。
そうしてこの共同湯にも必ず再訪するんだろうなあ。
しばし湯に浸かり、じっと瞑想し、幸せの時を過ごして、そろそろ宿に帰って朝食の時間です。
「や、お姉さんいいお風呂だったよ、ありがとう」
「いえいえ、……でも、お客さん、本当はここは7時からなんだよ」
「えっ!?」
「あはは、いいって良いって」
破顔一笑。
7時開始の浴場に6時半に入れてくれたお姉さんもいい。
浴場もいい。
あふれる豊穣の湯もいい。
外に出でて寒いけれど爽やかな尾の間の風を頬に受けます。
「神は在る」
身も心も豊かな思いでこの地を辞したのでした。

 

 

 

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