街道から少しく山に入って小さな谷間に楠川温泉高齢者センターはありました。
外壁を緑に塗った珠玉の浴場は、どういう形態の経営なのっかよく解りませんが、明朗快活なお姉さんが湯番をしていました。
入浴料金が300円。
古びた板張りの廊下の奥に浴場があります。
蕭々と降る雨音を聞きながら、湯にかぶせられた保温用キャンプマットを謹んで剥がして入浴すれば、楠川の湯は全的に無色透明、25度の冷泉を加熱して使用しているためおよそ匂いも感知できません。それでも古色蒼然とした浴場に浸かり冬でも緑濃い屋久島の森林に降る雨を感じつつしばし時を過ごせば、はるか天然の旅情に我が五感は打ち震えるのでした。