阿武隈山中の仙境の地で静養を終えて私は再び茨城県の大子に戻ってきました。
旅はもうすでに帰路の行程を進んでいるのです。
大子町には公営の温泉保養施設もあって、それは小高い山の上に開けた一画に作られています。
周囲は全的に森林。
なるほど、名称の森林の温泉(もりのいでゆと読む)というのも納得です。
やや料金が高いのが難点ですが、公営らしい余裕のある造りで館内では食事や休憩もできて一日大子の風に吹かれて湯に浸かって休息するにはいいかもしれません。
内湯浴場は窓を大きくとった明るいものです。
横長の浴槽に透明無臭の湯がまんまんとたたえられています。
そうして森林の温泉とうたうだけあって露天風呂エリアが大きくて広くて森林の中で気持ちがいい。
温泉は特徴を感じることができませんが、これだけのエリアの湯にゆらゆらと揺られて、肌寒い春の空を見上げているのも良い風情です。
サクラは咲いたけれど、山の樹々はまだようやくこれから芽吹くところです。
今にも降り出しそうな大子の空を見上げて、しばしの休息と450キロの帰路への英気を養ったのでした