気がはやって桶に湯を掬ってジャバっと身体にかけてびっくり。源泉そのままの竹乃や旅館の湯は50℃超、あやうく火傷しそうです。
湯もみすることしばし、ようやく湯温を下げて、源泉の投入を逃がして、そおっと湯に体を沈めました。
「ああ、湯がしみる」
湯が我が五体にじんわりと染み入ってくるのがよくわかります。
奥会津の炭酸と土類を含んだ塩化物泉はきりりと熱く、それでいて爽快無比、端麗な浴感は気持ちいいことこの上ありません。
たった独り素朴な浴場を独占し、私は大きく窓を開け放って山肌の芽吹き始めた木々や、咲き誇る桜を眺めます。
「うーむ、言うことないねえ」
独り小さくつぶやいて、長いこと独りじっと瞑想にふけるのでした