某温泉


硫黄香る谷間の温泉  20160321上場  

■施設名   なし
■値段    なし 
■住所    
■電話    
■時間    
■定休    
■その他
■訪問日   

寂寥感漂うその谷間には、主のいない硫黄の湯がただただ流れているのでした。
源泉は透明あちちあちち。
46度ほどでしょうか、しばし湯もみして適温にまで温度を下げてのち、私はそおっと湯を楽しみました。
遠い遠い昔、今は未利用のこの温泉マスもどこぞの宿に湯を供給するための中継マスであったのでしょうか
いまはもう無用の湯マス。
荒涼とした冬枯れの谷間、だーれもいません。
ただあるのは、母なる大地の自然の湯。

谷間に漂う硫黄臭気はさながらマグマの彷徨、いや、芳香。
ひっそり閑とした冬枯れの谷間の湯を体感しつつ曇天の空を見上げます。
これが青空だったらどんなに素敵でしょう。
いや、青空は曇った冬枯れの谷間から渇望することこそ美しい。
私は独り、にやにやと何かを得心したかのように薄ら笑いしながら、湯の香をクンクン嗅いでみたり、ぐびぐびと湯で口をすすいでみたり、いつまでもいつまでも飽きることがありません。
こんな秘密の湯に遊ぶことももうないんだろうなあ。
帰りしな名残惜しくて枯れ枝に腰かけてしばし硫黄沈殿の白い湯の流れを眺めます。
「うむ、先ずは良かった。満願だ」

 

 

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